今、ウチにはビニガサが一本もない。
少し前なら玄関の横に10本以上ぶらさがっていた。
人に差し上げたものがほとんどだが、外出中に行方知れずになったものも少なくない。
(要するにパクられたか、間違われたということ)
雨が降るたびにコンビニを探して買い、店に入るたびに無くならないか不安に想う。
そんなプレッシャーによるストレスから解放されたくて、
数年前にお気に入りの折りたたみ傘を購入した。
安くはない。
むしろ自分としては高い買い物だった。
でも際限なくビニガサを買い続けるより安かったかも知れない。
そして今でもキチンと無くさずここにある。
この傘に愛着があるから。
この傘が折りたたみだから。
開閉がボタンひとつだから。
そんなわけで、今日もビニガサを買うことなく外出を済ませたのだが。
一本も無いとなると、それはそれで少し寂しい。とふと思った。
他人にパクられるのは気分が悪い。
でも来てくれた人に差し上げるのは大歓迎だ。
そして玄関横のビニガサカーテンがちょっと懐かしかったりもする。
あったらあったで、プレッシャーと隣り合わせなのに、
なきゃないで、少し懐かしく想う。
人の心は傘に対しても複雑に働く。
どこかで安く売ってるビニガサを見かけたらストックしておこう。
今の折りたたみ傘が拗ねない程度の本数で。


